【Q&A】🌞夏の汗でなぜ湿疹が悪化する?👶💧

まだまだ暑い日が続き、湿疹が悪化して困って受診される方も多いです。夏休み中に治せるものは治しておきませんか?
❓ Q1. 「汗って水分ですよね?皮膚をうるおしてくれるのではないですか?」
💡 A. 実は逆で、汗は皮膚のうるおいを奪い、かゆみや湿疹を悪化させます。
汗の主成分は水分ですが、塩分・尿素・アンモニア・乳酸なども含まれています。
汗が皮膚表面に残ると、この成分が刺激となり、さらに汗が乾くと皮膚の水分まで一緒に蒸発してしまいます。
アトピー性皮膚炎の子どもは皮膚のバリア機能(角質層のセラミド量やpH調節機能)が低下しているため、この刺激に弱く、かゆみや赤みが出やすくなります。
📌 豆知識
皮膚のpHは通常弱酸性(pH4.5〜5.5)ですが、汗が残るとアルカリ性に傾き、皮膚常在菌のバランスが崩れやすくなります(皮膚科基礎科学会, 2018)。
❓ Q2. 「どうして夏になると特に悪化するんですか?」
☀️ A. 汗の量+温度・湿度+雑菌の繁殖が関係しています。
- 夏は高温多湿で大量の汗をかく
- 蒸れた状態が続くと、皮膚に黄色ブドウ球菌などの雑菌が増える
- この菌がアトピーの炎症を悪化させる(📖日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021より)
- 冷房と屋外の温度差も皮膚の乾燥を進める
📌 豆知識
アトピー患者の皮膚では黄色ブドウ球菌の保有率が健常人の約3倍とされ、菌が作る毒素(スーパー抗原)が免疫反応を強めることが知られています(Leung et al., N Engl J Med, 2018)。
❓ Q3. 「汗をかいたら毎回シャワーしたほうがいいんですか?」
🚿 A. できれば早めに洗い流すのが理想。ただしやさしくケアを。
理想的なケア
- 汗をかいたらぬるま湯でやさしく流す
- 石けんは1日1回(夜)だけでOK
- 洗いすぎは逆効果(乾燥が進む)
外出先では
- 清潔な濡れタオルや敏感肌用汗拭きシートで軽く押さえる
- ゴシゴシこすらないこと
📌 豆知識
日本皮膚科学会のスキンケア指針では「ぬるま湯(32〜34℃)での短時間入浴」が推奨され、熱すぎるお湯は皮脂膜を奪い乾燥を悪化させるとされています。
❓ Q4. 「治療は何をしたらいいですか?」
🩹 A. 炎症をしっかり抑えることが最優先です。
- 湿疹やかゆみが出たら、医師処方の外用薬(ステロイド・タクロリムスなど)を適切な量と期間で使用
- 中途半端に塗ると長引きます!
塗る順番
- 汗を落とす
- タオルで軽く水分を取る
- 外用薬を塗る
- 保湿剤で覆う
📌 豆知識
ステロイド外用薬を使用するときはしっかり使い、短期間での改善を目指し、ステロイドの使用総量を抑えます。副作用を心配して薄く塗り、少し良くなったら中止するを繰り返していると皮膚の状態はなかなか改善しません。
🏥 はれにこキッズクリニックで指導されるプロアクティブ療法とは?
当院では軟膏の塗り方指導を行っています💡
これは「プロアクティブ療法」と呼ばれる方法で、症状が良くなっても週に数回薬を続けることで再発を防ぐ治療です。当院だけの特別な塗布方法ではなく、一般的に知られる塗り方です。
📈 メリット
- 今まで改善しなかった湿疹が改善するケースも多い
- 一度理解すれば、今後もずっと使えるスキンケアの知識になる
- 薬の使用量がトータルで減らせることも
👩⚕️ 実際に診察室で塗布方法をお見せしながらお伝えしますので、「ちゃんと塗れているか不安…」という方も安心してください。
📌 豆知識
プロアクティブ療法は、日本皮膚科学会でも再発予防の有効な手段として推奨されており、寛解維持期間を有意に延長することが報告されています(Thaci et al., J Eur Acad Dermatol Venereol, 2016)。
❓ Q5. 「家庭でできる予防法はありますか?」
👕 A. 汗をためない&肌を乾燥させない工夫が大切です。
- 通気性のよい綿素材の服
- 室温26〜28℃、湿度50〜60%を目安に
- 帽子や日よけで直射日光を避ける
- 寝汗対策に背中タオルを敷いて交換する
📌 豆知識
湿度50〜60%は皮膚のバリア機能を保つ理想的な範囲であり、これ以上高いとカビやダニの繁殖、低すぎると皮膚の乾燥を招きます(環境省 室内環境指針, 2022)。
なぜか、お掃除の知恵袋のページにものすごく詳細に記載されているのを発見したので、興味のある方はぜひ👉️https://wiple-service.com/column/ideal-room-humidity-science-winter-summer-health/
❓ Q6. 「受診の目安は?」
⚠️ A. 皮膚はぼろぼろになると回復までに時間がかかります。以下の症状があれば早めに受診を。
- 赤みやかゆみが強く広がる
- 黄色いかさぶた・汁が出る(感染の可能性)
- 夜眠れないほどかゆい
- 家庭ケアや薬で改善しない
📌 豆知識
二次感染が疑われる場合(発熱・腫れ・膿など)は抗菌薬の外用または内服が必要になることがあり、放置すると蜂窩織炎やとびひに進展する恐れがあります。
💡 まとめ
1) 夏の汗は湿疹を悪化させます。
2) 汗の成分が皮膚を刺激し、乾燥と炎症を招くためです。
3) アトピーの子どもはバリア機能が弱く、雑菌や汗の刺激で症状が出やすい。
4) 汗を早めに落とし、保湿と適切な治療を続けることで悪化を防げます。
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「アトピー性皮膚炎」
- Leung et al., N Engl J Med, 2018
- Thaci et al., J Eur Acad Dermatol Venereol, 2016
- 環境省 室内環境指針, 2022