札幌市南区の小児科・小児外科のはれにこキッズクリニック

お電話でのご予約・お問い合わせは

011-211-6612
みんなの疑問
便秘
小児外科

❓️便秘ごとき、ほっといても大丈夫ですよね?

❓️便秘ごとき、ほっといても大丈夫ですよね?

❓「子どもの便秘って放っておいても大丈夫ですか?」

🩺答え:いいえ、小さいうちにしっかり治すことがとても大切です!

子どもの便秘、ついつい「そのうち治るかな…」と様子を見てしまいがちですよね。でも実は、便秘を放置すると将来にわたって大きな健康リスクになることがあるんです💦

🚨便秘が将来引き起こすかもしれない怖い病気とは?

慢性的な便秘は、単にお腹が痛くなる、排便がつらいというだけではありません。以下のような重大な疾患と関連していることが、最近の研究で分かってきています。

  • 大腸がん:長期間の便秘で腸内に有害物質がたまり、大腸がんのリスクが高まることが指摘されています(参考:厚生労働省「がん予防と生活習慣」)。
  • 腎不全:便秘による腸内環境の悪化が、慢性腎疾患の進行と関係している可能性があります(出典:J Ren Nutr. 2020)。
  • 脳血管障害・心血管疾患:慢性便秘が高血圧や動脈硬化を悪化させ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるという報告もあります(出典:Stroke. 2016)。

    更にマニアックに解説します🔬

    💥【1】大腸がんとの関係:腸内発がん物質の滞留と上皮への慢性刺激
    慢性的な便秘では、腸内の通過時間が延長し、糞便中の二次胆汁酸(デオキシコール酸など)やアンモニア、硫化水素、ニトロソアミンといった発がん性物質が腸内に長く滞留します。これにより腸上皮細胞への慢性的な刺激と炎症が持続し、細胞のDNA損傷が蓄積することで、発がんリスクが高まると考えられています。
    また、便秘のある人では腸内細菌叢が乱れ、有害菌の増加や抗炎症性菌の減少も確認されています。これが腸のバリア機能低下炎症促進環境を作り出し、発がんのリスクファクターとなるのです。
    📚参考文献
    ・厚生労働省「がん予防と生活習慣」
    ・O’Keefe SJ. J Natl Cancer Inst. 2016;108(8):djw161.

    🧬【2】腎不全との関係:腸-腎連関(Gut-Kidney Axis)の破綻
    便秘が続くと、腸内で産生された**尿毒素前駆物質(インドール、p-クレゾールなど)の吸収が増え、これが肝臓で代謝された後にインドキシル硫酸p-クレジル硫酸となって腎臓に蓄積し、腎小管細胞に障害を与えることが分かっています。
    これらの物質は、腎臓の線維化を促進し、慢性腎臓病の進行を加速させる可能性があることが、動物実験および臨床研究の両方で示されています。
    また、便秘により腸管内圧が高くなることで、腸粘膜の透過性が増加(Leaky Gut)し、LPS(リポ多糖)などのエンドトキシンが血中に流入。これが全身性の慢性炎症を引き起こし、腎機能低下に拍車をかける可能性も指摘されています。
    📚参考文献
    ・J Ren Nutr. 2020;30(2):122-128.
    ・Vaziri ND. Kidney Int. 2012;81(3):211–218.

    ❤️【3】脳血管障害・心血管疾患との関係:便秘と動脈硬化・交感神経過活動
    慢性便秘は、交感神経を常に活性化させる「ストレス状態」を作り出します。特に排便時のいきみにより血圧の急上昇(Valsalva反応)が起こりやすく、これが繰り返されることで脳出血や脳梗塞**の引き金になると考えられています。
    また、腸内フローラ異常に伴う炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)の増加が血管内皮機能を障害し、動脈硬化を進行させるとも報告されています。
    特に、高齢者の研究で「便秘を訴える人は脳卒中や心筋梗塞のリスクが有意に高い」という疫学的データがあり、これらは便秘が単なる症状ではなく、全身の疾患リスクの“バイオマーカー”である可能性も示唆されています。
    📚参考文献
    ・Stroke. 2016;47(8):2046–2052.
    ・Am J Gastroenterol. 2012;107(7):1126–1133.

🧠どうして子どものうちに治した方がいいの?

便秘は**「生活習慣の病気」**ともいえます。つまり、小さい頃から排便習慣を整えておくことで、大人になってからの病気を予防することができるんです!

🧒子どものうちは…

  • 小児医療助成制度で医療費の自己負担が少ない✨
  • 学校や園のスケジュールに合わせて時間の余裕もある⏰

でも…

🧑大人になると…

  • 仕事や家庭の都合で病院に行く時間がない
  • 医療費の負担も大きくなる
  • 便秘が慢性化し、薬に頼らざるを得なくなることも💊

💡子どもがこんな様子なら、すぐ相談を!

  • 排便が週に2回以下
  • 排便時に痛がる、出血がある
  • お腹が張っていて苦しそう
  • トイレに行きたがらない
  • パンツに少し便がついている(漏れ便)

これらは便秘のサインかもしれません。早めに小児科で相談して、やさしい治療から始めてあげましょう😊

🏥はれにこキッズクリニックからひとこと

子どもたちの「うんちの悩み」は、実は心と体の健康にとってとても大事な問題です✨
当院では、お子さん一人ひとりに合わせた便秘治療を行っています。生活指導から必要に応じた薬の使い方まで、やさしく丁寧にサポートします😊

今回はちょっと本気でマニアックに解説しました。

「便秘ぐらいで…」と思わずに、まずはお気軽にご相談ください🍀
https://harenico-kids.mdja.jp/

📚参考文献

  • 厚生労働省「がん予防と生活習慣」
  • J Ren Nutr. 2020;30(2):122-128.
  • Stroke. 2016;47(8):2046–2052.
  • 日本小児消化管機能研究会「小児機能性便秘症診療ガイドライン」2023年版
コラム一覧