札幌市南区の小児科・小児外科のはれにこキッズクリニック

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【腕が上がらない⁉肩の脱臼?それ、肘内障かも!】

【腕が上がらない⁉肩の脱臼?それ、肘内障かも!】

遊んでいたら急に腕が上がらない…それ、「肘内障(ちゅうないしょう)」かもしれません!
特に2~6歳の小さなお子さん
に多く見られるケガで、突然「腕が痛い!」「動かせない!」と泣き出すことも😢

小児肘内障(ちゅうないしょう)とは?🧒

小児肘内障は、幼児によくみられる腕のケガの一種で、「肘が外れたように見える」状態です。英語では「pulled elbow」または「nursemaid’s elbow」とも呼ばれ、親が子どもの腕を引っ張った際などに起こることが多い外傷です。

原因と病態

小児の肘はまだ未発達なため、橈骨頭(とうこつとう)を包んでいる「輪状靱帯(annular ligament)」がゆるく、引っ張られることで簡単に橈骨頭が靱帯の外に逸脱してしまいます。これは、肘の関節の構造が未成熟で、靱帯が柔らかいために起こる現象です。

特に、前腕が回外(手のひらが上を向いた状態)したときに引っ張られると発生しやすく、靱帯が橈骨頭に引っかかってしまうことにより痛みと動作制限が生じます。

好発年齢と症状

  • 発生年齢:1〜4歳がピーク
  • 性別:やや女児に多い傾向あり
  • 症状:腕をだらんと下げて使わなくなり、痛がらず静かにしている
  • 視診・触診で腫れや変形はほとんど見られない

典型的には、「手を引っ張ったあとから急に腕を使わなくなった」というエピソードがあります。泣くこともありますが、多くは痛がるそぶりを見せずに患側の腕を使わなくなります。

診断

基本的には、問診と視診で診断されます。X線などの画像検査では異常が見られないことがほとんどですが、外傷の程度が強い場合や腫脹・明らかな変形がある場合には骨折を除外するために画像検査を行います。

整復法

整復(もとの位置に戻す処置)は外来で簡便に行えます。代表的な整復法は以下の2つです。

① 回外・屈曲法(supination-flexion maneuver)

腕を手のひらが上を向くように回外し、そのまま肘を曲げる方法です。多くの場合、「クリック音」が聞こえ、直後に腕を動かすようになります。

② 回内法(hyperpronation maneuver)

近年ではこちらの方が成功率が高いとされ、手のひらを下に回して整復する方法です。クリック音がなくても、動かし始めれば整復成功と判断できます。

再発について

肘内障は一度起こすと再発しやすく、再発率は20〜30%と報告されています。成長とともに靱帯が発達してくると、自然と起こらなくなります。

保護者には「手を引っ張らないようにする」「腕を持ってぶら下げないようにする」などの予防指導が重要です。

注意点

  • 明らかな腫脹や打撲がある場合には、骨折(例:橈骨頭骨折、上腕骨外顆骨折)を疑って画像検査を行う。
  • 整復後に患児が腕を動かさない場合は、整復不成功または他の病態の可能性を考える。
  • 両手を同時に引っ張って起きる例もあるため、保育園・幼稚園などには注意喚起を。

✅まとめ

「整形外科?小児科?外科?レントゲンが必要?でも、、どこに相談すれば…」と悩まれる保護者の方も多いですが、 はれにこキッズクリニックでは、小児肘内障の整復も行っています✨

🔸 高い所から落ちた
🔸 強くぶつけた
🔸 腫れや変形がある

そのような場合は連携医療機関へのご紹介も可能です。

👩‍⚕️ほとんどの場合はレントゲン不要で、数分で処置が完了することもあります。
ただし、以下のようなケースでは精密検査が必要になることもあります。

🏥結局、どこに行けばいいの?

💬「腕が上がらない」「だらんとしたまま動かない」そんな時はまず、
👉 はれにこキッズクリニックにお越しください!

参考文献

  1. Offiah AC, Hall CM. “Radiological diagnosis of non-accidental injury.” Pediatric Radiology. 2003;33(10):769–775.
  2. Macias CG, et al. “A randomized clinical trial comparing supination-flexion and hyperpronation maneuvers for the reduction of radial head subluxation.” Pediatrics. 1998;102(1):e10.
  3. Choung RS, et al. “Nursemaid’s elbow: a practical approach to diagnosis and reduction.” American Family Physician. 2017;95(4):236–242.
  4. 梅林芳宏ほか.「肘内障の整復法に関する検討」日本小児科学会雑誌, 2009;113(3):421–426.
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